蚊の大群を避けて休憩していると、後方から一台のBMWが近づいてきた。速度を落として私たちのところへ止まったその風貌に
私は見覚えを感じた。近づいて見るとそれは台湾のリーさんではないか。私はこんな地の果ててでの突然の友人との出会いに驚いた。
彼が奥さんと二人で今からおよそ1ヶ月半前にアメリカ本土に渡ってバイクで走っていることは知っていたが、まさかその彼がこの
アラスカまで足を伸ばしているとは思ってもいなかった。
実は彼とは8年来の友人で、台湾でバイク雑誌のリポーターをしている。私の6年前の「ユーラシア大陸横断」に興味を抱いて、私の
記事を台湾のバイク雑誌に掲載してくれたのも彼だった。その彼が一昨年私の家に来て、ユーラシア大陸横断のノウハウを聞いて
帰り、昨年奥さんと二人三脚でこのユーラシア大陸横断を成し遂げている。
しかしそんな彼とこんなアラスカの地の果てで偶然で合うなんて、世界は本当に狭いと感じた。