夏期といえども"北極海"それは身も凍てつく純白の世界だと期待してたどり着いた。
しかしそれとはほど遠い光景だった。記録によると夏でも6年前には間違いなくこのプルードベイの海にも沢山の氷が浮いていた。
しかし現在は違う。見渡す限り氷なんて全く皆無で、その海は九州の海岸と言っても何ら変わらない光景であった。
これはどう感じるべきなのか、ひょっとしたら皆が感じている地球の気候変動よりもっと恐ろしい危機の前兆なのかも知れない。
実はこのプルードベイは今回のメンバー全員が初めてだった。北極海に面した寒い港町と想像していたが、ここは北米大陸最大の
油田地帯で、完全にその施設だけの"工業地帯"で働く労働者だけの町であった。労働者は約6,000人だが最長でも6ヶ月間で入れ
替わり、この町には一切の酒類の持ち込み禁止が徹底されている。プルードベイの本来の人口はわずか数名だと聞いている。